どうも、哀歌です。
今回は令和3年の事例Ⅱ試験の再現回答を公開します。
全事例の得点開示請求の結果は、過去の記事にて公開しております。
事例Ⅲについては、回答に使った要素が重複していて切り分けが難しかったので「こりゃあ一番足引っ張るかもな……」と思っていたのですが、蓋を開けてみれば69点と一番得点が高かったです。
回答の方向性も、もしかしたら予備校などと違うかもしれませんが、特殊な例として是非参考にしてみてください。
第1問
設問
回答
(a)①熟練職人の高度な縫製力②修理等アフターサービスが充実③販売チャネルが多いこと(39字) (b)①若手職人の養成が進んでおらず技術継承ができていない②製品デザイン部門の経験不足(40字)
当時考えたこと・反省
今年も強みと弱みを書かせる問題。
革製バッグ業界における、っていう制約には気を付けておこう。
過去の問題の回答に使っていた一貫生産体制は今年の与件文にも書かれてるけど、その後の文章が若干マイナスなことが書かれてるな。
それよりも、その先にネット販売も活用していて徐々に売上も伸びてきているし、販売チャネルが多いことは強みになりそう。
それから、熟練職人については触れておく必要があるかな、C社特有の強みだ。
それに修理に関しても繰り返し触れられてるし、アフターサービスが充実してるみたい。これも顧客満足に繋がりそうだし、書いておく必要がありそう。弱みについては、若手職人の育成が進んでいないことだ。それに、これは他の設問でも使いそうな要素だな。
あとは、製品デザイン部門の経験不足も「不安がある」って書いてあるし、回答にした方がよさそうだ。
と考えたところで、回答を記述。以下が反省点になります。
きっちり書くべきところは書けているのではないかなと思います。
当時は一貫生産体制について除外しましたが、文字数に余裕があったなら書いておきたかったなと思います。
直後にマイナスのことが書かれているにしても、外部要因の影響で受注が減少したっていうだけですし、一貫生産体制は依然として強みだったなあと思います。
弱みについては、過剰在庫や欠品の発生についても書きたかったですね。
ただし、やはり文字数に余裕がなかったですし、今回回答とした部分も悪くはないと思っているので、当日は上手く書けたかなと思います。
第二問
設問
回答
(a)生産計画に沿った生産による在庫の適正化(19字) (b)全社的な生産計画を作成し特急品の割込みに対応するため立案サイクルを短縮化する。受注量に合ったロットサイズに変更し効率化を図る。(63字) (a)熟練職人の負荷軽減のための若手職人の養成(20字) (b)全体縫製、部分縫製の技術をマニュアル化し教育により標準化を行う。部分縫製から業務を任せ若手職人の技術力向上、熟練職人の負担を軽減し効率化を図る。(72字)
当時考えたこと・反省
去年も、営業面と製造面で各々の課題と対応策を書かせる問題があったが、それに近いのかな。
課題の一つは、やっぱり生産計画だ。月1回の立案サイクルじゃ長すぎるし、受注内容の変動や特急品の割り込みで都度変更されてる。
その生産計画に基づいた見込生産をしてるせいで、欠品や過剰在庫が発生しているから、これも絡めて一つの回答にしよう。あとは、熟練職人にしかできない作業が多いから負担が大きいな。
若手熟練職人の育成に力を入れて熟練職人を助けてあげられれば業務効率化に繋がるだろう。
そもそも、若手職人をきっちり育成していかないと、熟練職人がいなくなった時に大変な事態になりそうだ……。
と、事例Ⅲ特有のダメダメなところを抽出したところで回答しました。以下が反省点です。
書くべき要素としては大きな外れはないと思います。
ただ、生産計画についてですが、「全社的な生産計画を作成」は別に書かなくてもよかったかなと思います。大事なのは立案サイクルの短縮化の方なので。
他に改善点を挙げるとすれば、発注の方にも触れたかったですね。これも生産計画に絡んで欠品のことが書かれていますし。
もう一つ、若手職人の養成については、これも悪くなかったかなぁとは思ってます。
ただここで懸念していたのは「部分縫製から業務を任せ」の部分。
考えすぎかもしれませんが、熟練職人がめちゃくちゃ忙しい中で部分縫製から教育していくとなると、熟練職人の負担が更に増えないか……? という懸念です。
さすがにそこまでリアルに考えなくても大丈夫かなぁと思いましたが、終始モヤモヤした気持ちでした。
ここまで具体的に書かずとも、もう少し書き方を変えるべきだったかなぁと思います。
第三問
設問
回答
製品企画面の課題は①営業力を強化による顧客ニーズの収集②製品デザイン部門の新製品の企画・開発経験の蓄積。生産面の課題は①全社的な生産計画を立案し、立案サイクルを短縮。進捗管理など生産統制の徹底②若手職人の養成による製法工程の効率化、である。(120字)
当時考えたこと・反省
回答の方としては、製品企画面の課題は①、② 生産面の課題は①、②という形で回答しよう。
さて、自社ブランド製品の開発強化を検討するとなると、まず触れなきゃいけないのは製品デザイン部門の経験不足。ここは絶対に避けては通れない課題だ。
それから顧客ニーズに沿ったものを作らないと売れないだろうから、ニーズを収集する必要がある。うーん……「営業力の強化による」っていう書き方で大丈夫かな……まぁ、いいか。
生産面の課題については、やっぱり若手職人の養成は必要だし、生産計画の立案も改善しないといけないしこれを書いて……あれ? ちょっと待てよ? この設問への回答、今まで回答したことと要素被ってないか?
他に書くべき要素は……いや、でもこれ以外なさそうだぞ……。
この要素を回答にしていいのか? こんなんで得点もらえるのか?
いや、切り分けに迷ったら、要素が被ってもいいから書こう。最初からそう決めてたんだから、迷わず進もう!
……でもこれで本当にいいのか!?
と、当時は焦りまくっておりました。以下が反省になります。
製品企画面の課題については、きっちり押さえるべきところを書けていると思います。反省点としては顧客ニーズの収集の手段に関してですね。
「営業力の強化による」も間違ったことは書いてないですが、具体性に欠けます。
過去問での勉強において、顧客ニーズの収集を書く時に「営業力の強化」をセットで書く癖が付いてしまったので、これは良くないですね。
もう少し具体的に書くのであれば、「販売数量は少ないものの小売店との取引も始められた」という記載があるので、小売店などからのニーズの収集という方向性で書ければベストだったかなと思います。さて、問題の生産面の課題です。
見事に第二問の回答と論点が被ってますね(笑)
ただ、若手職人の養成についてはやっぱり外せないとは思うんですよ、書き方はもう少し考えた方がよかったですが。
となると、①の方向性を変えるべきでした。
となると、書くべきことは欠品、過剰在庫についてでしょうね。
見込生産にありがちなトラブルですが、ここについて触れておけばよかった……。
あまりに回答に使った論点が被りすぎていて、終始不安に苛まれていました。
第四問
設問
回答
分業化と標準化による自社ブランド製品のアイテム数の増加を提案する。対応策は①熟練職人が持つ全体縫製や部分縫製の技術をマニュアル化し、教育を行い若手職人の技術の標準化②修理作業の部分縫製を若手に任せ経験を蓄積③営業力を強化し開発した新製品を若手職人に任せ稼働率と売上の向上を図る。(140字)
当時考えたこと・反省
どちらの方策を選ぶべきか、という問題は随分と久しぶりだ。
熟練職人が主となる自社ブランド製品に力を入れるか、若手職人の分業にすべきか、の二択。
過去問の勉強をした時に目にしてきた模範解答から考えて、高付加価値化というのが回答の方向性としては多い。
やはり今回も熟練職人主導の自社ブランド製品に力を入れて高付加価値化……いや、待て。本当にそれでいいのか?
これまでの回答で、散々若手職人の養成や技術の標準化を課題として挙げてきたにも関わらず、高付加価値化という助言をするのか??
まずい、時間がない……熟練職人の自社ブランド製品か、若手職人の分業化……。
……回答の一貫性を考えるなら、若手職人の分業にした方が矛盾がない気がする。
よし、分業の方向で助言しよう、それならば悔いがない。
この問題も、本当にギリギリまで悩みました。以下反省になります。
最後の最後まで回答の方向性に迷ったのですが、若手職人の分業に方向転換をしたのが試験終了10分前でした。
今となっても、高付加価値化が正しいのか、分業が正しいのか、自分の中で答えが出ていません。
事実としてあるのは、自分が事例Ⅲで69点を取ったことだけです。
中小企業への助言と考えるのならば高付加価値化にするべきだったのかと思いますが、この点数を取れたのは妥当な方向性で助言ができたからなのでしょうか。
この問題に関しては、こうしておけばよかった、という見解が特にありません。
というより、自分でもどうすべきだったのか判断に迷っているからです。
今後、似たような問題がどうすべきなのかについては、本記事をご覧になっている皆様に判断を委ねます。
回答の方向性も、実際の自分の得点も、嘘や偽りはありません。
皆様自身で判断、考察し、今年度の試験に活かしていただければと思います。
終わりに
本記事で昨年度の再現答案の公開は終了です。
事例Ⅳについては、NPVとCVPの問題が分からず悪戦苦闘しつつ、執念で空欄を埋めたというド根性を発揮しただけなので何の参考にもならないと思うので公開の予定はありません(笑)
ただ、財務分析や最後の記述問題については再現ができるかもしれないので、ちょっと検討してみたいと思います。
本記事も最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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